mareのおすすめワイン

インスタグラム mare.wine が綴るワインと時々経済のはなし

ドメーヌ ・フーリエ

月例になっているまれワイン会で5月マグナム会の一部を変更してフーリエの垂直試飲を行いました。理由にはドメーヌ ・フーリエのワインは少し特殊で、セラーでエイジングさせるのが難しいワインであることは分かっていたので、上位の酒質が強いワインでどの位の熟成になっているのかを個人的にも観察しておきたかったからです。

 

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今回、ワイン会の結果及び最近飲んだフーリエの状態をもとに推測的なものを書いておこうと思いますが、本来は「熟成、劣化」についての投稿が一段落してから載せようと思っていました。順序を変えたのは、ワイン会でもフーリエのセラーリングに苦労している方もいて、そんな方が他にも世間におられるのかなと思い、早く投稿しておこうと思ったからです。

 

まずフーリエというワインですが、本当に艶のある香りと豊満な味わいがあります。これをフーリエの特徴と捉えて、それを楽しみたいのであればできるだけ早く飲むことをお勧めします。まして、かなりしっかりとしたセラーがなければなおさらです。飲食店でちゃんとした大型のユーロカーヴのようなワインセラーであっても、開け閉めの多い環境であれば、他のワインなどよりも早く熟成が進んでいくと推測されます。個人的な感覚でいうと、日本酒の生酒ぐらい神経を使って扱いたいワインで、下手をすると温度に敏感な自然派のワインよりも厄介かもしれません。

 

逆にちゃんとしたセラーでゆっくり熟成させることができれば、艶やかさを残したまま少しづつ綺麗にネクターのような状態になっていくと予想されます。なんとなく女優の黒木瞳さんのイメージです(失礼があったらすみません、汗)。そのためには温度の振れを極端に減らし、12度から13度位の低温でやや「保存」に近い状態で「保育」した方が良いと思います。それが、「フーリエらしさ」を残しながら熟成もさせる最良の方法と考えています。

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その答えに辿り着いた理由はいくつかあって、1)マグナムというアドバンテージも含めてもリリース以来13度低温定温セラーで眠らせておいたクロサンジャック2007年がワイン会で理想的な熟成をしていたこと、2)2009年のグリオット・シャンベルタンは冬12度から夏14.5度ぐらいの幅を持ったワインセラーで眠っていたため(それでも多くのブルゴーニュ現地のセラー群より温度変化は少ないですが)、ヴィンテージの特徴も鑑みると2007年のクロサンジャックより熟成のスピードがかなり早いこと、3)最近試しに飲んでいた村名のジュヴレ・シャンベルタンで、夏場には18度ぐらいまで室温が上昇する地下室に置いていたものは一部のヴィンテージ及びボトルで「フーリエらしさ」がなくなっていたこと等があります。また余談ですが、2009年から2013年ぐらいまでのヴィンテージで日本に並行輸入で入ったものの中には状態の悪いものが混ざっていて、比較して飲んでみると冬場に海外から輸入したものの方が断然状態の良いものが多く、フーリエの繊細さが分かっていない販売者が結構ずさんな扱いをしていたのだなと想像します。

 

フーリエのワインがこのような特徴を持っている要因としては、個人的に細かいデータまで持っているわけではないので想像の域を出ませんが、やはり酸化防止剤がかなり少なく、二酸化炭素によってワインを守っているようですが、その二酸化炭素が酸化を食い止める効果を発揮する期間がそこまで長くないのかなという感覚です(10年ぐらい?)。その根拠は7、8歳〜10歳ぐらいのワインで、急に澱が出始めたり、不安定になったりするものがあるからです。たぶん、急に酸素の影響を受け始め、その環境に慣れてワイン自体が強くなるまでに少し時間がかかるのかなと思います。その辺は、ワイン専門家の人や学者さんに聞いてみたいところです。

 

私もフーリエに惚れ込んでおりますが、フーリエが好きで持っている方の少しでもお役に立てれば嬉しいです。

 

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