mareのおすすめワイン

インスタグラム mare.wine が綴るワインと時々経済のはなし

ワインの品質 劣化、進化、老化、熟成 (1)

mareは30年余り個人のワイン愛好家としてワインと接していましたが、今後プロフェッショナルのカヴィスト(まだ見習いみたいなものですが😁)としてやっていく上で、ワインの「保存、保護」というのが大きな課題です。この課題は実験や試行錯誤をしながらの一生のテーマとなる気がしていますが、今までの経験で感じていることを少し。

 

ワインの保存には色々な「面倒」が付きまといます。温度管理、湿度管理、振動管理、光管理。どのような環境でワインを育てたら良いのか、それ以前にどのような状態ならば「劣化」しないのかよく考えてみないといけません。保存環境として温度15度以下、湿度70%以上、振動と光を避けるというのが一般的見解です。でもそれにも色々な意見があるようで、自然派ワインも扱っている大手ワインインポーターが雑誌に出している広告を見ると、堂々と物流センター内のセラー温度は「16度〜18度」と書いてありますし、一部の自然派ワインを扱う人は12度以上にしたくはないという人もいます。湿度にしても70%を下回っていても問題ないという方々もいれば、カビが生えてもいいからできるだけ高湿度を保ちたいという方も。ワインを劣化させない方法は?そもそも「劣化」って?

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まずは先入観を捨ててみたいと思います。ワインとなると難しく考えすぎるところもありますし、またボトルの中に入っている液体なので「未知」な感じもあります。しかし極端に言えば、他の食べ物と何ら変わりはありません。一旦、野菜や肉や魚と同じように考えてみましょう。肉や魚は「熟成」というワインと同じ部分があり、「保存」の話をするには少しややこしくなるので、野菜で話を進めたいと思います。

 

一般的に野菜は大地から根を抜いたところから「劣化」が始まります。もちの悪いサニーレタスを例にあげます。サニーレタスを美味しく食べるなら畑の上で食べるのが一番ですがそうもいきません。物流に乗ってスーパーや八百屋まで来たものを買うわけですが、その状態もまちまち。ピンピンしているものもあれば、すこーし葉が溶けたようなものまで売ってます。多分ワインも一緒です。一番フレッシュなワインを飲みたいのであればワイナリーで飲むのが一番。ワインがワイナリーを一歩でれば「劣化」は始まります。日本に来るまでずっと振動にさらされ、たぶん温度管理も100%ではありません。地区地区の中心物流センターからリファーでワインを運ぶことはあっても、リファートラックで個々のドメーヌを回っている業者がいるかどうか? 言いたいことは日本に100%のワインはなく、劣化をどれだけのレベルで留めておけるかどうかがポイントだということです。熱劣化も含めた「劣化」はゼロイチではなく、八百屋のサニーレタスの状態のように連続したものです。なのでその状態は消費者もしくは仲介のワインショップが判断しなければなりません。もちろん、葉がドロドロになってしまったサニーレタス、色の黒くなった牛肉、お腹を壊しそうな魚のように絶対に「ダメ」なレベルはワインでも排除されると思いますが、あとは70%を良しとするか?80%を良しとするか?95%じゃなきゃ嫌なのか?は消費者に委ねられています。

 

そもそも100%のワインを知らない消費者にとってそれをどう判断しろというのかと問われると返す言葉もありませんが、日本のワイン市場は概ね80%〜95%ぐらいのレベルを保っていると個人的な見解ですが思います。それは結構凄いことです。フランスやイタリアなど本場も含め結構世界中ひどい状態で飲んでいるのが実情ですから。ドロドロサニーレタスのような状態のワインも世界にはいっぱいあります(苦笑)

 

(2)ではもうちょっと熟成を含め話を進めます。たぶん、少し細かくなります。というか、個々のワインできめ細やかに管理していくしかないという話になってしまいます。例えば、ブルゴーニュフレデリック・コサールのワインを15度以上で長期間寝かせると果実味と風味がなくなります。フーリエも16度を超える温度で長期間保存すると「フーリエ香」がなくなり、若いフーリエワインの特徴を失います。逆に自然派でもオッキピンティーのワインは白を除き少し高めのセラー温度でも綺麗に熟成していきますし、繊細と言われるブルゴーニュワインでもドメーヌ・ド・ラ・トゥールのクロ・ヴージョのように低温だとなかなか熟成してくれないワインもあります。みたいな😃

 

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