mareのおすすめワイン

インスタグラム mare.wine が綴るワインと時々経済のはなし

AIと美味しさ

朝から凄いニュースだ😱

 

AIはここまできてしまったのかという印象。法学部卒の私としては司法試験合格の大変さは友達の苦労を見て知っているつもり。今だに合格率は4パーセント弱。それを予想してしまうAIはやっぱり凄い。

 

でも感心してばかりはいられない。まず、このAIの予想は「お金」で売られるだろう。もしそれが高額ならば、大学受験の「傾向と対策」レベルの話ではなく、一気にお金持ちなら弁護士になれるという勢いになってしまう。AIが発達し過ぎると何のための試験かわからなくなる。

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次にこのAIに対抗するため試験問題のランダム傾向を強くすると、試験問題の「意図」がどんどん消えて行き、形骸化していく。立派な裁判官や弁護士の登竜門がそれでいいのかって話になる。

 

そして、AIに対抗するためにAIで対抗しようものなら、一気にAIの空中戦が始まる。AI開発に拍車がかかっていき、そのうちマッドサイエンティストならぬマッドプログラマーが出てくるという話も映画の中だけのものではなくなるだろう。

 

ワインの世界にも当然この流れは押し寄せてくる。先日、ドメーヌ・タカヒコの曽我さんが載せていたように、評論家を含め大量のワインに対する膨大な「好み」のデータが存在するし、それらを解析することは今の時代容易い事だ。それを統計処理していけば仮想上の商業的に「完璧」なワインの味を探し当てることができる。超近代的な設備とそれを膨大な醸造データをもとにコントロールするAIがあれば、この「完璧」な美味しさを近い将来造りだせるかも知れない。

 

きっとその時、人は「美味しさ」の定義を再確認しなければならなくなると思う。テロワールが葡萄に反映するように、人がワインに反映する。完璧な人はいないし、だからこそワインに「味」ができる。私は今後も「完璧な」ワインでなく、「味のある」ワインを追いかけて行きたいと思う。

 

mare