mareのおすすめワイン

インスタグラム mare.wine が綴るワインと時々経済のはなし

古酒 vol. 2 / Old Vintage vol. 2

古酒ワインの魅力。科学的な表現はなかなか得意ではないので直感的、情緒的に書きます(汗)。端的に表現すると、それは複雑で官能的な香り、そして全ての要素が溶け合った滑らかさ、艶やかさだと思っています。

 

古酒の香り。実は分解してしまうと色々なネガティブな要素がいっぱいなのかなと思ったりもします。若いワインの香りはワインの色や産地によっても違いますが、果物や花にミネラルを編み込んだような「陽」の香りのものが多いです。古酒の香りを分解していくと、赤だと腐葉土、皮、獣だったり、白だと石油、「猫のおしっこ」なんて単体だと本来鼻を塞ぎたくなるような要素が出てきます。そのネガティブな要素が果実香、ミネラル香と一体となって全体としてバランスがとれている。「陰陽」によって作られる「バランス」に人は魅せられるのだと思います。そして、味にしても幼少期の無限とも思えるエネルギー感の時代を遠に通り過ぎて、「死」の姿が見えてくる時期。そこに現れる生命の「輝き」。儚さをもちながら穏やかに凛と生きている絶妙な「バランス」に人はまた魅了されるのかなと思ってます。

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このバランスに大きく関わってくるのは幼少期の過ごし方なのかなと、最近ちょっとづつ思い始めています。持っている赤ワインの中でも90年代に購入した70年代、80年代前半のものは「マディラ」傾倒のものが多いと感じます。mare的な分け方ですが(それも名付け方が超感覚的🙇‍♂️)、赤ワインは「マディラ化」するものと「ネクター化」するものに分かれて行くように考えていて、その方向性を形作るものは最初の5年ぐらい(自然派だと直感的に1年半)の過ごさせ方なのかなと。「マディラ化」とはマディラやポートの様に、味にやや濁り感はあるものの熟した味、甘みを感じるもの。「ネクター化」とは果実味を残しながらタンニン分が弱くなり綺麗に細くなる変化を示しています。そして、ワインの管理がまだ甘かった70年代、80年代の前半に波乱万丈な時期を過ごしたワインはマディラ系になりやすかったんだろうと推測します。(熱劣化とかいう次元の話ではありませんが、温度が関わっているとは思っています。)

 

ちなみに、こっからが難しいところで、ブルゴーニュがマディラ的になるとちょっと嫌だなと思う方は多いかと思いますが、ローヌやバローロなどはそちら側の方が若いときの面影を残しやすい気もします。以前、ブルゴーニュのきっちりとしたセラーにあったルネ・ロスタンのコート・ロティー1976年は育ちが良すぎて完全に「ブルゴーニュ」になってしまってました。それを良しとするか否か。この辺が古酒の難しいところですが、これもおいおい、、、

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