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インスタグラム mare.wine が綴るワインと時々経済のはなし

熟成 / maturing

いつも読み返す本があります。「ワインの瓶熟」(著者:井手 甫)です。何回読んだだろう?

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ワインの瓶熟に関してはいつも頭を悩まされます。逆にそれが楽しくもあります。せっかく生産者さん達が苦労して作ったワイン、どう受け継ぐか? この本を参考にしながらも全てを鵜呑みにすることなく色々な実験、考察をしています。全ては美味しくワインを飲むために。。。

 

現在、ワンセラーとして、寺田倉庫、自然の状態の地下セラー(冬6、7度〜夏22度)、空調付きの地下セラーA(人工的に調整して冬12度〜夏15度)、空調付きの地下セラーB(低温かつ定温13度)、大型ロングフレッシュ、大型ユーロカーヴ2台を利用して実験、検証中です。

 

ワインの熟成には無限に近いパラメーターがあります。そもそもワインの銘柄が果てしなくあるし、ヴィンテージがそれらワインそれぞれにある、年によって製造過程が変わる(除梗の有無/程度、樽の性格、フィルター、清澄、酸化防止剤添加量など)ので本来であればそれぞれに合った熟成の方法があるはず。例えば、最近3種類のセシル・トランブレイのシャペル・シャンベルタン2008年を飲んでみました。一本は寺田倉庫にお7年ぐらい置いてあったもの、一本は空調付き地下セラーA、一本は大型ユーロカーヴ。寺田倉庫のものは少し粉のような澱が出始めており、味は少し角が取れ始めた感じ。地下セラーのものはより固形的な澱が見られ、味、香りとも熟成感があり、かなり丸みを持ち合わせ飲み頃に入ってきている感じ(劣化している感じはまったくない)。大型ユーロカーヴのものはセラー温度設定が12度と低いせいか澱がゼロで味もほぼ昔のまま、という状態でした。現時点ではどれが正解という結論には至っていませんが、低温で置いていたものに関しては、そもそもセラーリングする意味がないという結論には達しています。

 

ちなみに外見的なワインの色、透明度、澱の量は、味わいを予想する上で大きな参考になります。なので少し加えると、同じ年セシル・トランブレイのエシェゾーは地下セラーでも固形的な澱ではなく粉のような澱がみられ、2009年はその性質の澱が少し多め、2010年は2008年と同様と様々でした。同年代のDRCはというと(たくさんは持っていませんが)、どのセラーでも澱はほぼ今のところ皆無。これはワインの力なのか?っという結果が出ています。

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結論的にいうとワイン一本一本に適したセラーコンディションを用意するのは無理ということなのですが、でも、瓶熟を諦めきれない。。。。 なぜそう思うかというと、2つの理由があるんです。ネガティブな方からいうと、レストランでバックヴィンテージを飲んでも、バックヴィンテージらしからぬ若々しさがありすぎて、面白くない。ローヌワインなんて未だ90年代のものが角張っていて美味しくない。ポジティブな方では最近蔵出しで購入したマッサヴェッキアのバックヴィンテージの美味いこと、美味いこと🤣 彼らが厳格な低温・定温で保存していたとは思えないので、やはり温度の「ゆらぎ」があったのではないかと考察します。

 

小難しいテーマになりましたが、全ては生産者が造ってくれた美味しいワインを、美味しく育て、美味しく飲みたい。こんな実験はワインを「商品」として扱っている主体の人たちには、そこに愛があったとしてもなかなかできない。なので、mare、頑張るしかないのです😉

 

mare

 

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